『銀狼』- SILVER WOLF -

輪ゴム銃作りに挑戦します。子供の頃、よく割り箸で作ったりしましたよね。そう、輪ゴム銃なんて単なるオモチャかもしれない。いい歳こいた大人ですが、そんな子供の工作のノリで持てる技術とありったけの知恵を総動員して作ろうというのです。


製作期間は約1ヶ月。それは仕事を終え夜な夜な試行錯誤に明け暮れる日々でした。


 使用素材はステンレス(SUS304)、厚さ3mm~5mmのフラットバーを切り、削り、穴あけし、いくつものパーツを作り、それらを溶接やビス止めで固定し、最後にヘアラインに磨いて仕上げてあります。オモチャのゴム鉄砲では有り得ないような本物さながらの重量感を求め、全部をステンレスで作ったら、逆に実物の拳銃より重くなってしまいました。1.5kg!持つとズッシリきます。


 やたら穴ぼこだらけなのは、少しでも軽量化を図るべく可能な限り肉抜きしまくった悪足掻きによるものです。またデザインや機関部(輪ゴムを発射するカラクリ)は、予めパソコン上で設計図を作成。とはいえ、画面上の2Dの図を立体化するのは予想以上に面倒だったし、ゴムを発射する構造も実際に作り撃ってみないと正常に作動するかが確認できず、製作は困難を極めました。


 その苦労の甲斐あってか、完成した代物は想像を超えるド迫力。金属の質感フェチでメカ好き・銃好きの僕は見ていて癒されます。展示用台板からはワンタッチで取り外せ、すぐに構えたり遊んだりできるようになってるのも、自分の為ですw


 輪ゴムの装填はバレル上部のカバーを開いて(スライド式じゃない)行います。歯車の溝に輪ゴムを掛けて伸ばし、バレル先端に引っ掛ける→指で歯車を一段送る、これを繰り返し、12発ほど装填することができます。装填後はトリガーを引くと輪ゴムが1発射出され、同時に次の弾がリロードされます。ハンドガンによくあるセミ・オートマチック式です。


 セーフティレバーは構えたまま親指で操作できる位置に設けました。レバーを上げるとトリガーを引いても空転するだけで輪ゴムは飛ばないようになってます。ついでにこのレバーはバレルカバーのロックも兼ねています。


 可倒式フォアグリップ搭載。設計段階では、殺風景なデザインを解消する為のものでした。でもこれだけ銃が重いとワンハンドで狙いを定めるのも大変です。そこで重宝するのがフォアグリップ。ただの飾りのはずが、思わぬ大活躍。


 レーザーサイトで高精度射撃? 離れたターゲットにも赤いポイントを照射。遥か昔、ターミーネーターとかいう映画を観て、憧れてしまった装備です。ところが、この銃の命中精度や集弾率は低く、射程距離も短い為、あんまり役には立ちません。


 フラッシュライトで暗闇でも確実にターゲットを補足。てか、暗闇で輪ゴム銃撃つ時っていつだよ?このフラッシュライトとレーザーサイトは、市販のLEDライト付き小型レーザーポインターを内蔵させてあるだけです。殆ど意味のない装備、、だけど胸がときめくそんな装備です。


 分解した様子。いくつもの板を重なり合わせて、組み上げているのがお解解りいただけるかと。製作期間1ヶ月を要したこの作品、、完成してみればの話ですが、構造自体はそんなに複雑じゃないです。やはり労力の大半を費やしたのは、ステンレスという加工が大変な素材との格闘だったようです。 「もう二度とこんな想いをするものか」と思いつつも、次回作のイメージが頭の中を次々と駆け巡る・・・。またしてもマニアックなものに取り憑かれてしまった自分です。