『蘇る銀狼』- Silver Wolf 2015 CONCEPT -

2008年9月────

KAZKIN2120 R.B.GUNSすべての始まりにして今なお、揺らぐことのない最高傑作『シルバーウルフ』が完成。


そして2015年────

幾多のゴム銃を作り培った経験を活かし再構築する「蘇る銀狼」プロジェクトが始動。蓄積された設計ノウハウ、磨き抜かれた銃デザイン、進化した加工技術、CNCフライス、アルマイト処理・・・・・・・・・


かくして今だから作れる次世代版「銀狼」が完成した。

■主要諸元 回転翼式セミオート連発銃 / 輪ゴム装弾数:14発 / 翼形状:歯車型七角形 / サイズ:254mm×146mm×35mm / 銃身長:210mm / 重量:665g(マガジン部110gを含む)


■マガジン交換式ゴム銃 すでに他の作家さんによる作例もあるように、ゴム銃の回転翼式セミオート連発銃でマガジン交換式にするなら、この輪ゴムを掛ける部分=銃身から回転翼までをそっくり換装する方法がシンプルで作りやすい。ただ実銃と違いゴム銃の場合、弾を切らしてはならない緊迫した状況下に置かれることはまずない為、マガジン交換式は無駄な機能、ロマンを満たすだけの要素である。


■使用素材 使用しているCNCフライスRD300の加工範囲220mm×300mmにカットした3mm厚のアルミ板(A5052)3枚分を使用。切削に要した時間は合計でおよそ20時間ぐらいとけっこう掛かる。その後は皿穴やタップ穴の加工を施し、ニッパーでパーツごとに切り離したらバリを除去して端面を仕上げる。手作業がなくなるわけではない。


■設計図から飛び出して実物になる感覚 今まで膨大な時間を要していた切り出しと穴あけがなくなった事で、拍子抜けするくらい設計したものがすんなり出来上がる。大小43個からなるパーツの組立ては立体的なジグソーパズルかのようで、設計者自身でも楽しめた。

複雑な機構ながら動作の調整もトライ&エラーを繰り返すことなく、すんなり完成。CNCフライスの加工精度により0.1mm単位の緻密な設計が可能に。


■アルマイト処理仕上げ DIYで出来るアルマイト処理キットを用い、酸化被膜を形成しアルミの表面を保護。同時に着色しメタリックカラーに。銃身はオレンジやグリーンに染め、その周りをネイビーに染色。銃本体はアルミの地のシルバー色のままだが、アルマイト処理後はやや白っぽく落ち着いた質感に仕上がる。また耐摩耗性も増すので機関部のパーツに有効。激しく擦れ合う回転翼も簡単には色が剥がれることはない。


■反動を生み出すギミック 『フェンリル』の代名詞ともなった「リコイルギミック」が進化した。トリガーを引くと回転翼を含む銃身全体が後方へスライドし、輪ゴムを射出すると勢い良く前方に戻るブローバック的な動作により、ゴム銃には無い射撃時の反動や衝撃を発生させる。これもマガジン交換式と同様、必要のない無駄な機構だが、もともと実用性ゼロのゴム銃に遊び心は多いほうが良いと思う。


■元祖を彷彿とさせる装備も進化  お馴染みのバレルカバーとフォアグリップも健在。どちらもオートロック機構が備わり、軽快なアクションで開閉が可能。フォアグリップは展開するとスタンドにもなり、輪ゴムの装填や銃身の換装をするときに便利。バレルカバー展開時に着脱できる銃身も、カバーを閉じると外れなくなり脱落を防止している。


■新旧対決!  元祖『銀狼』のデザインは荒削りで無骨というか、見ようによっては酷いw また加工が大変なステンレスを手作業で切り出した事もあり、切り口に手作り感が溢れて醜い。初作品ゆえ全体的に設計の甘さは否めないが、セミオート連発を一つのツメだけで制御する機構は、未だ完全に再現する事が出来ないほど奇跡的な産物。

 一方の今作は緻密な設計データをコンピューター制御で切削。仕上がりの差も歴然。またアルミ製になって程良い重量感の665gであるのに対し、ステンレス製の元祖は「銃器ではなく鈍器」と揶揄された程に重たい1.5kg。ちなみにアルミの比重はステンレスなど鉄の1/3ほどなので、実際には今作の方が体積が大きく、ぎっしり詰まっている事になる。

完成した「今だから作れる銀狼」が奇しくも元祖と真逆の存在になったのは興味深い。
初作品ゆえにある独創的な瞬発力と、経験によりもたらされる作り込まれた確実性。

どっちが優れているのかではなく、どっちも大事。



【日本ゴム銃・オブ・ザ・イヤー2015】最優秀賞獲得!!
オリジナルマインド【ものづくり文化展2015】特別賞受賞!!